鑑 賞 室

巧妙な手順、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。



※将棋盤右上の「発表」年月は、原則として結果発表月を表しています。



ル−1 北原 義治氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1960年3月

独楽のうた



ル−2 吉田 健氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1982年1月
結果発表 1982年5月

鶴田主幹慶祝曲詰



ル−3 岡本 眞一郎氏作



掲載誌 近代将棋
出  題 1997年2月

塚田賞



    【 発表誌解説より 】

    担当:柳田 明
 2手目6三歩合は、5五歩、同玉、5六銀、6六玉、7六金、5六玉、8三馬、4五玉、4七飛、4六合、同飛、同銀、
 3六銀以下。
 6手目5六同玉は、8三馬、4五玉、4七飛、4六合、同飛、同銀、3六銀以下21手駒余り。

 前半の変化紛れが多岐にわたり、詰み筋も仲々見えず多くの方が非常に苦労された事と思う。まず5五歩と打ってみて詰まないのを確認し、やっと初手7二馬と寄る手に気付く。これに合駒は6三6二と壁が出来るので軽く香の移動合で応じ、続いて5六銀に一旦6六玉とかわすのが味な逃げ方で、金をひとつ引かしたおかげで4七飛と廻っても詰まない。そこで9五飛と縦に使うが、2手延ばしの6五歩中合まで出て最後は鮮やかに詰め上がり「ル」の字となる。
 作者の一連のカナ文字シリーズもいよいよ佳境に入ったが、作品の充実ぶりには目を見張らされる。本作もその内容の濃さは曲詰以上のものがある。
岩田  茂 「危うく6五歩合を見落とす所」
森  雅幸 「手順の鮮やかさは勿論、変化紛れが豊富で中合まであり、曲詰の傑作。特に7二
 馬、6三香の2手は絶大な効果をもたらしており、この作品を引き立てている」

    第89期塚田賞 選考
服部  敦 「血湧き肉踊る岡本氏のルの字」
岡田  敏 「岡本氏のあぶりだし「ル」の字は密度の濃い手の連続で好作と思う」
柳田  明 「移動合中合などテクニック盛沢山の曲詰「ル」の好作を推す。変化紛れも深く、作
 者の充実ぶりを示している」
谷口  均 「岡本氏作は、得意の中合入り曲詰で完成度も高い」


ル−4 柳原 裕司氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 2001年4月
結果発表 2001年7月

本間博五段結婚祝賀詰



    【 発表誌解説より 】

    解説:水上 仁
☆完成までのプロセスを身近に見ていたので、苦心の跡が偲ばれるのである。
☆柳原氏は3手目の捨駒にこだわっていた。歩の持駒で45歩、同とでも良いが、紛れが薄い。
 大駒を捨てたい。結局、馬を遠方に配し45馬と飛び込む順でまとめた。これで結構難解作に
 仕上がってしまった様だ。
天六辰年=詰上りが分かっているのに仲々たどりつけなかった。45馬を見つける迄が大変。
☆左辺の駒は捌けないが、右側は大駒を含め機能的に昇華される。最後は飛をせり上がって
 透し詰の「ル」の字。この字型の作成は意外に難しそうだ。
滝本幹夫=かくれている28の角をどう使うかが問題でしょう。
加賀孝志=まとまりのある手順。難しい文字を見事。
金子恒男=字形が美しい。
明石顕治=初手42銀とし、悪戦苦闘。
☆確かにそれは同玉のあと、3枚の大駒から有効な王手が掛からず大変そう。
凡 骨 生 =一歩稼ぐための45馬から53銀生に味あり。
今川健一=駒を逐次に捌いて形を創る。これは昭和の曲詰に近い手法。




   
 
 

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