鑑 賞 室

巧妙な手順、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。



※将棋盤右上の「発表」年月は、原則として結果発表月を表しています。



モ−1 伊藤 路歩氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1982年2月
結果発表 1982年10月

「新イロハ詰歌」




モ−2 角 建逸氏作



掲載誌 将棋世界
発  表 1993年2月

(湯川博士氏の記事より)




モ−3 平井 康雄氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1996年9月
結果発表 1996年12月

修正図



    【 全日本詰将棋連盟HP内『マイベストテン』の作者解説より 】

 初手は作意8手目の変化(イ)に備えてのいわゆる変化伏線。これが全てです。
 発表時は44生銀だったので余詰でしたが、これで修正できているはずです。
 これも中央から1段ずれています。さらに問題なのが36香の配置。作意上ちゃんと働いているかのように見えますが、実を言うと3筋に香が2枚ある必要はなく、36香をそのまま取り去っても作意は成立するし余詰もないようで、限りなく飾り駒に近い駒と言えます。つらいところではあります。

(イ)8手目33玉は34銀、24玉、51馬以下


モ−4 岡本 眞一郎氏作



掲載誌 詰棋めいと
出  題 1998年6月



    【 発表誌解説より 】

    担当:森田 銀杏
 10手目52玉は25馬、43香打、42角成、61玉、11飛成、72玉、63香成、同歩、84桂以下
作者=馬鋸をカモフラージュするために玉の位置を11歩の近くにしました。イロハの炙り出しも
 あと三作です。
梅本拓男=11歩が残っておかしいなあと思ったら、馬鋸が入っていた。これは予想外で嬉し
 い。
今川健一=曲詰に馬鋸を入れるとは旨い。本号のナンバーワン。
新田道雄=11歩を見て一目で馬鋸だな…と思った。気持ちのいい曲詰。
金子恒男=5手目は13角成が絶対と確信していたのだが…。33歩成から24角が後に往復馬
 鋸にする凄い狙い。曲詰+馬鋸の作例はそんなにないと思うが…。
★護堂浩之氏の「新・馬子唄集」(本誌12号)によれば、馬鋸入りの炙り出しは 小川悦勇作
 (市松、詰バラS30・8)以来、これで八局目です。
松澤成俊=ヤマは張りやすいが、結構難しい。趣向も入り着地も設計図通りピタッと決まった。
久後生歩=あまり悩まなくてもよい長編もありがたい。
★現代の炙り出しでは単なる呼び込み式の逆算はあまり受けませんが、本図は馬鋸と絡めた
 ので好評でした。既にイロハ四十八文字を完成されたそうなので、ぜひ一冊にまとめてもらい
 たいものです。

    第24号めいと賞(銅賞)
    選評:柏川 香悦
 作者名と配置から炙り出しと分かるだけに11歩を残して追うのはやりにくい。それが馬鋸で取れると気付いたときは誰もが快哉を叫ぶはずで、完璧な手順構成だ。
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    受賞の言葉:岡本眞一郎
 イロハ詰四十八文字の炙り出しを創作しようと思ったのは平成6年の秋頃で、中倉姉妹の女流棋士誕生を祝って「アキコ」「ヒロミ」を完成させ、近代将棋に発表してからです。
 この「モ」の字はその頃に得た素材で、序が旨く出来ずそのままになっていましたが、今までと発想を変え、文字の外から玉を呼び込む序にして、初形から馬鋸を連想しにくくしたのが良かったのかも知れません。ありがとうございました。
 イロハ四十八文字は殆ど出来ましたが、発表時の不完全作の修正や見直しをし、もう少し時間を掛けて完成させたいと思っています。




   
 
 

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