鑑 賞 室

巧妙な手順、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。



※将棋盤右上の「発表」年月は、原則として結果発表月を表しています。



キ−1 門脇 芳雄氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1956年1月

『曲詰百歌仙』 第52番



    【 『曲詰百歌仙』 第52番 作者解説より 】

 これは私の得意な作品です。曲詰ながら本格的な「伏線」の様な構想が盛り込んであります。
 盤面の4七金が実は邪魔駒です。もし4七金がいなければ、初手から6七金、6五玉、5五金、同桂、5四飛成、同玉、6三角成、6五玉、7四馬、同金、6六歩、5四玉、5三桂成、同歩、3六馬の順で詰むのですが、この手順の3六馬捨てを4七金が妨害しているのです。
 しかしこの邪魔金を捌くのは容易でなく、例えば初手5七金寄は7七玉、6七馬、8六玉、8七金、9五玉と逃げ出されて詰みません。ではこの邪魔金をどうするかと言う問題です。
 正解は初手6七金、6五玉、5五金、同桂の時先に打った金を6六金、同玉と捨て、5七金と捌きに行くのです。前には金の持駒が有っても5七金、7七玉と逃げ出されて詰まなかったのに、今度はその金もないのですが、6三桂が移動したため8三飛成の手があって詰むのです。「4七金消去」は私の渾身の力をこめた伏線です。

     【変化】
  8手目77玉は78歩、86玉、83飛成以下。


キ−2 吉田 健氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1980年10月
結果発表 1981年1月

創棋会記念曲詰




キ−3 三輪 勝昭氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1991年4月
結果発表 1991年7月



    【 発表誌解説より 】

    解説 : 浜田博
★「キ」の字の曲詰。2回大駒の生が入ってるのがミソである。しかし、今月の客寄せPART2だけあって易しいのである。
市村道生−意外な初手と予想された詰め上がり。
岩谷良雄−95角の配置に意味を持たせた型やぶりの導入部は新感覚。
★この分野は岡本真一郎氏や岡田氏の得意分野だが、導入部のしつこさが、今までの曲詰とは違う気がする。
★今までの曲詰が部分的な手の流れを避けたのに対し、しつこい応酬で手順の半分を要してある。そうなると不動駒が目立つものなのだが、思ったほど残ってもいない。この新鮮さが平均点につながってると思う。
阪口和男−77角がうまい手。曲詰でなくてもかなりの好局。
新田道雄−見事な曲詰です。易しいながら香短打、邪魔駒消去、変則合、玉方飛角不成、攻方大駒すべてさばいての詰め上がりは言うことなしです。
★ただ56龍以下の収束は余り好かれなかった様だ。余り既視感はないと思うのだが。
天 光正−余り印象に残らない。
須川卓二−不成曲詰の一つのパターンという感じがする。
★しかし好作というより傑作ではある。最後に。
野田達志−生四回、手順の妙、象形、看寿賞。A

     【紛れ】
  3手目45香は54玉以下逃れ。


キ−4 山田 康平氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1991年11月
結果発表 1992年2月

菊田アマ名人記念曲詰




キ−5 関 恵理香氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 2004年11月
結果発表 2005年2月




キ−6 岡田 敏氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 2006年4月
結果発表 2006年7月

桂九雀師匠
ご次男凛君詰






   
 
 

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