鑑 賞 室

巧妙な手順、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。



※将棋盤右上の「発表」年月は、原則として結果発表月を表しています。



ヌ−1 門脇 芳雄氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1956年1月

『曲詰百歌仙』 第24番



    【 『曲詰百歌仙』 第24番 作者解説より 】

 手掛かりが付け難く、玉が左辺に脱出しそうな不安定な初型ですが、初手6七銀、同と、7八龍と英断で切り捨て、6六龍と強引に迫ります。
 6六同玉の一手に6七金、5五玉で一安心の様ですが、ここで緊急の手があります。それは4四銀、同金と後で守備金を清算できるようにしておく工作です。ここで本手順らしい4七桂跳びを急 ぐと5四玉と肩すかしを喰わされ、打歩語の局面になり、守備金を清算できません。先に4四銀、同金と呼んでおけば後で4四金と清算し、同玉、3四金以下攻めが続くのです。
 最後は一旦打った5六歩を5五歩と突き捨て、同玉、3三角成とリズミカルに捨てて5六歩から2一角成の収束になります。爽快な詰上りと言えるのではないでしょうか。
 「ヌの字」は字形が大きく「ネの字」などと共にウンザリするような条件ですが、まあまあの作品に仕上げられたのは幸いでした。

     【変化】
  6手目87玉は86龍、98玉、89金、同と、97龍まで。




   
 
 

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