鑑 賞 室

巧妙な手順、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。



※将棋盤右上の「発表」年月は、原則として結果発表月を表しています。



マ−1 長谷 繁蔵氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1964年10月

鶴亀詰将棋
『あさぎり』第18番



    【 作者との一問一答 】

  ――作者の割り当てはどうやって?
作者 「半分押し付けだったと思います。」
  ――本作は素材として持っていたのですか。
作者 「いやいや、当てられてから考えました。」
  ――収束を見つけた時のご気分は?
作者 「“マ”の字だったので普通作と違い狙っていたかも。でも決まったと思った。」
  ――創作時間はどれくらい?
作者 「2日くらいだったかな。」
  ――最も苦心したのは?
作者 「飛を移動合させる所かな。」
  ――本作にまつわる思い出などは?
作者 「創作が面白かった時だったので、なんとかなると思ったかも。」
  ――ずばり、会心作ですか?
作者 「会心作の内です。」
  ――その他ご自由に。
作者 「“詰上り曲詰”は正解と分かり気分も良いが、“初形曲詰”は手順が強引になり易く、好きではありません。(面白い手順の時もあるが)」


マ−2 平井 康雄氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1995年3月
結果発表 1995年6月



    【 全日本詰将棋連盟HP内『マイベストテン』の作者解説より 】

 小駒図式でできていた収束の素材に、無理矢理、桂香合を逆算で入れたもの。成桂が1枚必要になるのがつらいところですが、1回桂合を入れた上での話なので、大目に見てもらうしかありません。
 発表時は73銀、98飛の形でしたが余詰。修正したら不動駒が1枚減るし、手の味も格段に良くなりました。これまたお恥ずかしい話です。

(イ)2手目同玉は65角成、43歩、同馬以下
(ロ)4手目52桂は同銀成、同歩、91飛成以下
(ハ)10手目41玉は51桂成、同玉、52銀成、同玉、73銀生以下


マ−3 三角 淳氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 2001年1月
結果発表 2001年4月

北尾まどか2級
祝賀詰




マ−4 三輪 勝昭氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 2011年9月
結果発表 2011年12月


    【 発表誌解説より 】

    解説 : 石黒誠一
作者―48角は消さなくても68桂と打てます。48桂との違いが35金を取られた時だけなのが気に入っています。
岡橋憲司―狭い玉なのにと金がよく働いている。と金を動かすのに駒を捨てまくれば、詰上りが「マ」ですか。マジックですね。
★この作者でこの初形、間違いなく曲詰だが、やはり何の字が飛び出すのかのワクワク感が楽しい。
★48桂を打つまでが第一幕というところ。45銀から67桂は冴えない出だしだが、64角から盛り上がる。さらに空間に66角と捨て、返す刀で67桂とと金を戻す。作者の言葉にあるように、あくまで48に桂を打ちたいということなのだ。
★後半は2枚の飛車を捨て、小駒だけの詰上りは「マ」の字が浮かび上がる。なかなか創りにくそうな字形という印象だが、これくらいのサイズにすると実に鮮やかに見える。
★細かい変化はあるのだが、ことごとくすぐに切れるので、軽快にあぶり出しを楽しむことができる。古風な流動玉ではなく、狭い空間に捨駒を詰め込む作者らしさがよく出ていると思う。
永島勝利―あぶり出しにはよくあるが、形の割にすらすら解けて気持ち良し。
中瀬俊昭―唯一これだけはスラスラ解けた。
佐藤司―「マ」さかの手順と詰上り、この作者の作が解けて大満足です。
二宮卓郎―角を消す順を得てホッとしたが、最後まで浮き上がる図は分かりませんでした。



   
 
 

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