鑑 賞 室

巧妙な手順、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。



※将棋盤右上の「発表」年月は、原則として結果発表月を表しています。



チ−1 チロンヌップ氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1980年2月
結果発表 1980年6月

改良図




チ−2 岡本 眞一郎氏作



掲載誌 詰パラ
出  題 1998年4月
結果発表 1998年7月>



    【 発表誌解説より 】

    担当:平井 康雄
 2手目97玉は53角成、98玉、95飛、88玉、97馬、78玉、67銀、同玉、79桂、同金、68飛…。
 初手53角成は77玉、68金、同龍、86馬、78玉、68馬、同玉、67飛、59玉以下逃れ。

☆かつて「不成物の岡本」として名を馳せた作者が、最近、捨合入りの曲詰の好作を連発して
 いるのは今更触れるまでもないところです。
☆初形は歩以外の全駒使用。初手53角成が有力ですが届かないとなると、 85飛の一手。97玉
 の変化がちょっぴり難しいが、2手目77玉と決まれば後は一気に流れるように手順が進行し
 ます。
☆途中、一見重要な押さえ駒に見える金をあっさり47金と捨てる辺りは少々意外性があるか
 も。
☆57飛の好打の後、87飛と引けばお約束の捨て合「67歩」が出現。本局はさらに玉方桂不成ま
 で飛び出す、というおまけ付き。最後は大駒全部捨てて、鮮やかな「チ」の字が浮かび上がり
 ます。
☆捨合にしても不成にしても意味付けはそう難しくないですが、無理なく図ったょうに挿入されて
 いる辺りはただただ関心するしかありません。
☆当然、逆算創作のはずですが、初形歩無し全駒にするという付加価値まで付けてしまうとは
 すごいの一言。
足利太郎−また捨合の不成が入っている。47金からの捌きも豪快。なぜこうもたやすく作れる
 のか。不感症になっていく自分がこわい。
池田俊哉−(前略)歩なし全駒から打歩がらみの曲詰とはなかなかユーモラス。難易度を気に
 せず楽しめた。
小林武雄−歩無し曲詰、結構むチかしですね。
原田清実−56金、同龍で切れたかと思いました。捨合と不成入って期待通りの曲詰でした。
詰 鬼 人 −詰上りがやや苦しい図形ですが手順は変化も面白く仲々巧妙です。
☆「チ」の字としてはこの形はベストだと思います。あえて難癖をつければ字形が盤端にかかっ
 ていることですが、不成を入れるにはやむをえないところです。
那須  清−曲詰だからという甘えが全く感じられない、素晴らしい手順。




   
 
 

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