ヤ行
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
掲載誌 詰棋めいと
出 題 1997年11月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
(イ)2手目66同香は55銀、同桂、同歩、53玉、43歩成、64玉、56桂以下
8手目65香合は同飛、同香、56香、64玉、86馬、75合、53銀まで
逢坂太郎=(イ)同香…の変化も面白い。
秋元節三=序の2手は何でもないようだが、かなり迷わされる。
久後生歩=(イ)45玉、54銀…だと×。
★作意に戻る変化別詰ですね。(イ)45玉は35飛…で簡単なので一人もありませんでした。
天津包子=2手目65玉が最善なのは不思議。金を利用して桂合に限定する所も巧い。
白石蓮太郎=8手目65香・銀合の変化の方で悩んだ。攻駒の効率の悪さで虫のよい手順を成
立させる辺り、巧妙。
佃 卓幸=何が炙り出されるかなと期待したらヤの字。77金の二段活用と65桂合、収束の35
飛捨てに思わず巧い!
竹内久祐=飛車二枚を捨てて桂の活用が巧い。
桑原清作=駒も捌け上々。
佐藤次衛=ヤの字詰。
梅本拓男=手が決まっていて、いかにも曲詰らしい作り。
新田道夫=よく捌けて気持ちの良い曲詰。
田月伽弦=全く隙のない駒配置と鮮やかな駒捌きに魂を奪われた。
千葉 肇=(イ)の同香から考えて時間が掛かった。67金から35飛車まで、理論的な手順限定
が光る。
松澤成俊=飛躍手はないが、無難なまとめ。
高津義則=今一つ物足りない。
平松準一=軽い。
金子恒男=サを想定したが、ハズレ!合駒入りだけど、不成なしはいヤだね。
★レッテルを貼られると作者としてはつらいですね。初手の駒取り以外は綺麗に仕上がったと
評価すべきでしょう。
掲載誌 近代将棋
出 題 1998年2月
【 発表誌解説より 】
担当:服部 敦
4手目55同とは54桂、66歩合、同飛、 同と、45銀、55玉、56歩、同と、同銀、44玉、45銀、43玉、42馬まで。
8手目66歩合は同飛、同と、45銀、55玉、56歩、同と、同銀以下。
10手目45桂合は同飛、54玉、66桂打、同と、同桂、同香、65馬、63玉、64歩、62玉、52桂成、同玉、72飛成以下。
28手目74桂合は同馬、53玉、52馬、64玉、74飛、65玉、77桂まで35手。
30手目72玉は73馬、81玉、86飛、71玉、82飛成以下同手数駒余り。
7手目に桂馬をどちらに跳ねるか。誰が見たって74である。74ならば後で62ヘ成って使える。ところが54桂では6手後で取られてしまうのだから。
もう一つ分からない事がある。43香は、見るからに邪魔駒という顔つきをしている。実際、銀をうまく動かすと簡単に消えてくれる。でもこの香を消去するのは何の為なのだろうか。
二つの謎の間に45歩合という捨て合が入る。飛車を無力化して、同時に銀が暴れ出すのを防ぐ為である。
調子良く桂馬を捨てて45銀。ここで意外な事実が判明する。43玉と逃げられた時に桂馬が74にいると、飛車が上がれなくて詰まない。7手目の桂馬は54に跳ねなければならなかったのだ。むざむざ取られる方が正解だなんて。
74桂がなければ楽勝かというと、そうではない。今度は玉が63へ逃げる。85馬に二度目の捨て合の74歩。予想外の展開に、一瞬迷路に迷いこんだのではと不安になる。だがこの歩が最後のとどめを刺してくれる。43馬と引く時になって、初めて香を消去した理由が判明する。その1手後である。ユの字が盤上にくっきりと姿を現すのは。
曲詰の中に入る妙手は全て偶然の産物である。この作の二つの伏線と二つの捨て合も例外ではない。だが曲詰という極めて厳しい制約の中で万に一つのような幸運な偶然を探り当てる為には、並外れた観察眼と知識、読みの力と幸運、その全てが備わっていなければならない。この作はまさに、その四つが結晶した最も美しい成果の一つであると言っても過言ではない。
松沢成俊 「一発大業が入れば言うことなしだったが、小味な攻防は楽しめた」
鈴木 誠 「たった一枚の歩を使い切って不安、45歩合で不詰かと不安、飛車とと金の交換と
いう芋詰に不安、期待通り炙り出しで安心」
掲載誌 詰パラ
出 題 1997年8月
結果発表 1997年11月
【 発表誌解説より 】
担当:山下 雅博
4手目74玉は94角、65玉、83角成、64玉、73飛成迄。
4手目64玉は54飛、63玉、85角、74合、同角以下15手。
明石顕治−逆配置なら「E」ですが、作者はあくまでカタカナ党。
☆9手目76角は56玉、65角、55玉以下逃れる。何となく邪魔角を捌いているだけのように見え
る中盤部だが、作意に紛れにと手順中に玉に掠め取られる67桂・55歩の配置や5手目46金
のタイミングといい、絶妙の舞台装置だと思う。
神谷護流−変化が多岐に渡り、少し厄介だった。中合、押し売り、打歩打開と、詰将棋の秘技
を尽くした闘い。
☆後半の盛り上がりに欠ける感はあるが、この中盤部の精巧さで良しとしようか。
平井康雄−無理に創っているという感じが全くしないのはすごいですね。
花田 勉−はじめのきつい変化のあとも、手順前後や打歩詰に気を付けたりで、最後まで気
を抜けない。