ハ行
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
掲載誌 詰パラ
出 題 2008年9月
結果発表 2008年12月
【 発表誌解説より 】
担当:大崎壮太郎
16手目42歩合は同龍、同玉、41桂成、43玉、42成桂、同玉、52歩成、同玉、53銀成、同玉、62角成、42玉、
43歩、同玉、63香成、54歩、53馬迄。
42手目67歩合は同角、同桂成、46金、54玉、55歩、65玉、75馬迄。
45手目46金打でもよい.非限定。
作者−詰上りカタカナの「ハ」の字。序の駒交換がある逆算は好みではありませんが、曲詰とし
ては自己最長手数にすることができました。
加賀孝志−駒の交換はあれど、中央での逆算は大変だったと思います。合も入り見事なハの
字出現楽しめました。
☆初手から絶対手の連続ですが、その分、手を出しやすく、また、曲詰を予感させるのでキャッ
チーな序奏と言えそうです。
☆せっかく奪った飛車を桂と引き換えると、残るは角銀桂と丸い駒ばかり。ここから細かく手を
繋いでいくことになります。
高谷祥敬−不成の魔術師の名前で63銀生が浮かんで解けました。
☆63銀生では53銀成、同玉、 62角成が玉を狭めて自然に見えますが、42玉に54桂と打つ手
が、98角の利きを遮ってしまい不詰です。
小川千佳夫−25手目の63銀生のところで少考。63銀生が作意と分かれば、後は曲詰も含めて
気持ちよい収束が待っていた。
☆その気持ちよい収束に入る間際、うっかりしやすいところに、ちょっとした罠があります。
☆33手目51馬に、43玉と桂を取らずによろけるのが大事な一手。ここを素直に53玉と逃げて、
2手早く詰めてしまった方が数名いらっしゃいました。
☆33馬〜42馬の手順は、邪魔になっている53桂の間接的消去ですね。
☆その前の41桂成〜42成桂による33桂の直接的消去と、対になっているような、なっていない
ような。
佐藤次衛−98角の捌き (89角と引いて67桂合を演出する) が見事です。
☆初形からして、98角は65香を動かして使うものに見えるので、これを89角と引くのは意表をつ
きますね。
☆56金打が非限定なのは小さなキズ。44桂にすれば46金打に限定できそうですが、89角に56
歩合で不詰です。
増田智彬−また見事な曲詰ですね。不動駒が香4枚というのは偶然?
☆44香も歩でいいわけではない(46桂の防ぎ)ので、ただの偶然だとは思いますが、なかなか
の様式美ですね。
今川健一−何が現れるかな?で、解図を開始。合駒が2度、加えて、駒捌き良し、と褒めたい
が、よくぞ、ここまで延ばしたな、ご苦労様の感もある。「さん」 にしては、ですね。
神谷 薫−飛を清算で入手出来る。自然に消えやすい銀桂で馬を作り54に追い上げる順を
成立させる。角を無理なく消去。と技術的な巧さが満載で長編あぶりだしはこう造るものかと
感心する。
須川卓二−手順を進めていくと何と50手を越えるとは、楽しめるので長さを感じませんでした。
凡 骨 生 −見事な曲詰で「ハ」ッとさせる。「ハ」ク手拍手。
野口賢治−いきなりの清算は抵抗あるも一連の約束事なので仕方がない。持味である不成も
合駒も入り最後にパッと花咲く大型曲詰。
☆「パッと花咲く」もダジャレ?じゃないですよね。
掲載誌 近代将棋
出 題 1995年12月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
小林 理 「銀のナラズが粘リある手」
小泉啓信 「4手目同銀成とすると早詰」
4手目同銀成は3五飛、4五歩合、同飛、5六玉、4六飛、5五玉、5六歩、同成銀、4五飛までの13手詰です。
明石頭治 「二度の5五飛捨てが小気味よい」
仲井 剛 「飛車を二枚とも捨て、玉方歩合が入り、最後は都詰と文句なし」
石井 豊 「飛車捨ての構想はよく出来ている」
武田静山 「収束が鮮やか」
羽生田隆一 「玉方銀不成で引き締まった。桂を跳ねての詰上りも心地よし」
大髭康宏 「氏らしく不成が飛びだしたが、ちょっと物足りない感じ」
岡田 敏 「定型的だが、簡潔な駒配置に感心した」
橋本 明 「お得意の不成も入り、こぢんまりとまとまったヒン格のある作品」
田中信弘 「曲詰は手順が易しい方が文字が鮮やかに浮かぶような気がする。」
それとすっきりした駒配置ですね。本図の場合、まだ逆算は可能でしょうが、駒を置いて捨てるだけの手順伸ばしでは意味がありません。切上げどきは作者のセンスです。
掲載誌 詰パラ
出 題 2011年7月
結果発表 2011年10月
【 発表誌解説より 】
担当:岡村 孝雄
作者−詰上り「フ」の字。既成の収束からの逆算で平凡な作品ですが、易しいところが気に入っています。
竹中健一−初手の伏線に気付けば易しい!
池田俊哉−64銀で「フ」を入手するための初手は見えるところでも良い感触。後半は曲詰らしい手順といった感じ?
☆初手64桂が、10手目75玉には85馬、56玉には68桂(76に利かせる)〜64銀を見た捨駒。
今川健一−字形4、詰手順も4点。曲詰らしい手順の連続、合駒が入って良かったね。長手順のわりには妙味は薄い。
☆奇抜な攻めは無く、変化も短く詰むが、意外と無解者を数えた。初手を忘れたり、右辺の金を早く動かした?
須川卓二−桂捨てがポイントポイントで手をつなぐ。
中沢照夫−銀や桂の動きを活かした軽快なあぶり出し。不動駒は3枚で機能度が高い。
三輪勝昭−2段活用する駒の使い方は創作の良いお手になる。
永島勝利−やはり、斜めのラインは美しい。
占魚亭−匠の技を堪能。見事な捌きに感嘆するほかありません。
☆『四百人一局集』の編集を務めておられた岡本氏。本誌5月号および7〜8月号の「創作指南」にも登場し、あぶり出しの創作に関するコメントで参考になる点が多い。初形の左右のバランスや、合駒を含む手順は、氏の志向している創作にも概ね合致していようか。
掲載誌 近代将棋
出 題 1996年12月
【 発表誌解説より 】
担当:柳田 明
6手目7五玉は、6四角、8四玉、8五銀、同玉 8八龍以下。
(イ)10手目5七合は、4七銀、5五玉、5七龍、4四玉、5四龍まで。
玉頭に何か叩きたい局面なので、まず角を引いて歩合と交換するのは簡単に見えよう。しかし9手目4七龍ではなく変化(イ)をにらんで一旦5八龍と回り、4六歩を消去してから4七龍と入るのが絶妙な手段であった。この効果は収束で分かる。銀、桂と成り捨ててみれば詰め上がり「へ」の字。冒頭6手の歩合入手の部分も、曲詰という制約の上にバランスを保って成立させているのだから大したものだ。作者のシリーズ中でも曲詰とも思えぬ巧妙な手順で、出色の出来と言えよう。
橋本 明 「4七龍に目が行って4六歩を消す5八龍が気付きにくい」
平野隆久 「歩の消去をうまく組み込み、仕上げも申し分なし」
掲載誌 詰パラ
出 題 1996年7月
結果発表 1996年10月
修正図
【 発表誌解説より 】
担当:山下 雅博
須川卓二−伝家の宝刀の不成曲詰、見事です。
原田清実−不成が入って○ッとする。
谷岡里覧−私のお目当ての役者さんです。
☆作意中の玉の移動地点は55と56の二箇所だけ。思いつきだけど、高校以上の手数で不動
玉の曲詰が創れたら傑作になりそうだ(パラ82・3山本昭一作くらい?)。
☆閑話休題。46桂合や65飛生のような手で玉のすぐ周囲に駒を呼び込みながら形を造って行
くのは面白い手造り。殊に生の大駒が玉に寄ってくる感じは、岡本作の特徴だと思います。
9手目47桂は同馬、45飛、56玉、47銀、57玉以下逃れ(35歩を欠くと以下13角で詰む)
また67桂は同成桂、45飛、56玉、67銀、同飛成以下逃れ(77とだとこの筋が成立)。
☆しかし、余詰があった。
余詰(以下省略。※掲載図では修正されています。発表図はこちら)