マ行
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
掲載誌 詰パラ
出 題 1997年3月
結果発表 1997年6月
修正図
【 発表誌解説より 】
担当:関 半治
足利太郎−またもや本格的捨合入り曲詰。他の曲詰作家の人たちのやる気を失わせるほど
の出来ばえ。
☆8手目46歩の捨合の意味は44玉と逃げた時の45銀、同玉、36馬以下の詰みを防いだもの
(42銀が33成桂にヒモを付けてる)。また9手目47桂の手順前後は、同と、45馬、64玉、46角、
同との結果、本手順を進めても最終手56龍が取られてしまうので不可。
しかし…余詰(多数)初手より(以下省略)
余詰(南石信雄)9手目より(以下省略 ※いずれも修正済み。発表図はこちら。)
☆少し欲張り過ぎたかもしれません。作者の修正を待ちましよう。
鈴木章夫−実に緻密な構成。5手目47桂の紛れは強烈。
塚越良美−実質42銀の右左のニ択だが、46歩合が捨合になったのがよい。
平井康雄―こんな字にも捨合を入れてしまうとは…。参りました。
梶原正恒−もうナラズモノとは呼んでくれるな、俺はあぶり出しの岡本だ。
迷将参駄−マジで感勤しました。
掲載誌 近代将棋
出 題 1995年12月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
岡田 敏 「初手の角短打が好手。収束の定形パターンの使用は止むを得ないところか」
大髭康宏 「また歩合かと思ったが、二歩」
小林 理 「これだけは桂合で、意表を衝かれた」
4手目5五香合もありますが、同飛、6四玉、5三角成、7四玉、7五馬、8三玉、8七飛…で同手数駒余りです。
小泉啓信 「難解。4手目5五桂合に気付かず、一時は詰を断念するほどだった」
千葉 肇 「収束に桂が要るので、序で入手する算段を考える」
石井 豊 「5五桂合が収束をうまく盛り上げる」
明石顕治 「最後になって歩合が出ないが、アで二回出てるからOK!」
橋本 明 「飛角の使い方ミ事!」
羽生田隆一 「手順は一番易しかったが、詰上りミせる」
武田静山 「最後の問題は都玉。彰子・宏美両棋士の今後のご活濯をお祈り致します」
掲載誌 詰パラ
出 題 1997年5月
結果発表 1997年8月
【 発表誌解説より 】
担当:阿部 健治
2手目35玉は37飛、36歩、25金、同玉、23飛以下。
2手目36(47)玉は37飛、同玉、15角成、26金(他合は38飛、47玉に25馬)、38金、36玉、37飛以下。
2手目57玉は56飛、47玉、37飛、48玉、39金以下。
平井康雄−お約束の捨て合があっさり入っている。感心するのみ。
秋元節三−不成がない、打歩がない、合駒が…あった。
☆捨合が当り前になってしまった岡本氏の曲詰。そうなるとそこにまたプラスアルファが求めら
れる。期待を背負う人は本当に大変。厳しいもんだなと思います。
永島勝利−軽い作品に見えるが初手の変化が重い。
中西勝一−ハテこれはムの字かな。
☆2手目の変化が仲々のものなのですが、作意が軽快なのでちょっとバランスが崩れた感もあ
るようです。この辺りが短編曲詰の難しさです。
今泉桂花−手が限られていて易しいが合駒も入って味良くできている。
原田清実−36角で詰んでいて唸ってしまった。
☆捨合+曲詰とはあまりに厳しい二重条件。たまには少し戒律を緩めて作ってみたらなどとも
思うのですが。
掲載誌 将棋世界
出 題 1995年11月
【 発表誌解説より 】
担当:伊藤 果
本局は9月号「ソ」に続いての、あぶりだし「メ」です。作者が描く曲詰は、解図欲を湧かせる初形と手順の洗練さにあります。曲詰作品は特に解いてもらわねば、解者と作者に一体感が訪れません。
煩雑な初形で頭からソッポを向かれては、自己満足で終わるだけです。今後も作者の一連の作品に注目しましょう。
羽生田隆一 「一歩千金の"メ"。対子趣向も洒落ている」
掲載誌 詰棋めいと
出 題 1998年6月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
10手目52玉は25馬、43香打、42角成、61玉、11飛成、72玉、63香成、同歩、84桂以下
作者=馬鋸をカモフラージュするために玉の位置を11歩の近くにしました。イロハの炙り出しも
あと三作です。
梅本拓男=11歩が残っておかしいなあと思ったら、馬鋸が入っていた。これは予想外で嬉し
い。
今川健一=曲詰に馬鋸を入れるとは旨い。本号のナンバーワン。
新田道雄=11歩を見て一目で馬鋸だな…と思った。気持ちのいい曲詰。
金子恒男=5手目は13角成が絶対と確信していたのだが…。33歩成から24角が後に往復馬
鋸にする凄い狙い。曲詰+馬鋸の作例はそんなにないと思うが…。
★護堂浩之氏の「新・馬子唄集」(本誌12号)によれば、馬鋸入りの炙り出しは 小川悦勇作
(市松、詰バラS30・8)以来、これで八局目です。
松澤成俊=ヤマは張りやすいが、結構難しい。趣向も入り着地も設計図通りピタッと決まった。
久後生歩=あまり悩まなくてもよい長編もありがたい。
★現代の炙り出しでは単なる呼び込み式の逆算はあまり受けませんが、本図は馬鋸と絡めた
ので好評でした。既にイロハ四十八文字を完成されたそうなので、ぜひ一冊にまとめてもらい
たいものです。
第24号めいと賞(銅賞)
選評:柏川 香悦
作者名と配置から炙り出しと分かるだけに11歩を残して追うのはやりにくい。それが馬鋸で取れると気付いたときは誰もが快哉を叫ぶはずで、完璧な手順構成だ。
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受賞の言葉:岡本眞一郎
イロハ詰四十八文字の炙り出しを創作しようと思ったのは平成6年の秋頃で、中倉姉妹の女流棋士誕生を祝って「アキコ」「ヒロミ」を完成させ、近代将棋に発表してからです。
この「モ」の字はその頃に得た素材で、序が旨く出来ずそのままになっていましたが、今までと発想を変え、文字の外から玉を呼び込む序にして、初形から馬鋸を連想しにくくしたのが良かったのかも知れません。ありがとうございました。
イロハ四十八文字は殆ど出来ましたが、発表時の不完全作の修正や見直しをし、もう少し時間を掛けて完成させたいと思っています。