岡本眞一郎作品集


ア行

巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。




掲載誌 近代将棋
出  題 1995年12月



    【 発表誌解説より 】

    担当:森田 銀杏
橋本  明 「飛車をどこに振るかが問題。アッと驚く手はないが、無難にまとまった作」
有田  収 「8六飛は実戦的で好感」
小泉啓信 「2手目の合駒は見逃しやすい」
大髭康宏 「二段合で読み応えあり」
武田静山 「手順前後に注!」
 案の定、5手目から6五馬、(イ)同銀、5五歩…とした解答が六通もありましたが、(イ)同龍…で詰みません。
羽生田隆一 「二段合も見事だが、叩いてから馬を切るのがうまい手順」
室井哲哉 「序の5手に味あり」
石井  豊 「二度の歩合を後半の手順にうまく活用している」
 創作する立場から言えば、歩を打っていく収束からの逆算なので、その歩を二段合で入手するという虫のよい序奏がよくも付いたものと感心します。中盤の手順前後の綾にも程よい緊張感があって、好評でした。




掲載誌 詰パラ
出  題 1995年11月
結果発表 1996年2月

修正図



    【 発表誌解説より 】

    担当:阿部 健治
 2手目55玉は73馬、66玉、78桂、56玉、74馬以下。
 4手目66歩合は同香、55玉、45金、66玉、58桂、65玉、66歩、56玉、74馬迄。
 5手目83馬は74金合で逃れ。

久後生歩−ウーム、難しい。2手目55玉の変化も考えさせられる。67龍も鮮やか。
小林理恵−桂合がスバラシイ。
首  猛夫−67への2度の香、龍捨てが良い味。
松沢成俊−(前略)空間に消える龍がいい。
中出慶一−パズル性と雄大なスケールのイイ曲詰。
☆妙味ある桂合に玉のかわし(捨合ということ!)。相かわらず高度な狙いを盛り込んでくる作
 者です。 59銀と33歩(初手45金以下の余詰消し)だけが残念な配置ですが、それが釣り合っ
 てかえってスケールの大きさを印象づけています。
和田  登−この作者で打歩詰、不成がないのにびっくり。
☆ようやく滅ってきたこの評。今や曲詰の岡本、しかも構想的な狙いは常に健在です。

   ※本作は発表時余詰があり、修正したもの。発表図はこちら




掲載誌 詰パラ
出  題 2010年5月
結果発表 2010年8月

半期賞



    【 発表誌解説より 】

    担当:佐口 盛人
 2手目35歩合は同龍、同馬、56銀、54玉、84龍、74馬、同龍、同銀、55歩、63玉、54角迄。
 5手目非限定。66銀でも可。
 8手目74歩合は63角〜73龍以下。
    74金合は72角〜74龍以下。

作者−「ウ」の字のあぶり出しです。収束で必要な2枚の角を馬の移動合で入手するところが狙いです。
和田登−左右からの龍攻めは迫力満点。
今川健一−狙いは左右の馬の移動合。作者にしてはまずまずかな。
佐藤司−ウッ、お決まりのナラズが出てこない。間違いかな?
☆いつも高度な技を入れるのがお決まりとはファンの期待も高いですね。大道芸に例えたら単独でもすごい技を 右手と左手で、さらに一輪車に乗りながら決めてしまうようなものでしょうか。そのウルトラ技にウットリします。 有名税を払っても期待通りの技で今月の首位となりました。
小川悦勇−龍馬伝、前後編、一挙上演ウマイ。
名越健将−序が進まず悶々。馬の移動合2回は流石と言う他ない。
原田清実−馬の移動合ふたつ。最後は奪った2枚角で締めますか……。
☆同人作家も呆れるほどのウまさ。
宇貞光明−馬が2枚とも移動合となり見事にウが浮ぶ。2手目45歩合がつまず苦労した。
☆45歩合は56銀、54玉、84龍、74馬、同龍、同銀、45龍、同銀、同銀以下。
凡骨生−現代曲詰の第一人者のお一人で流石にウマイですねえ。
三宅周治−トリを取るにふさわしい作品。ウッとなりました。




掲載誌 近代将棋
出  題 1998年4月



    【 発表誌解説より 】

    担当:服部 敦
 24手目54玉は36角、45銀合、同角、55玉、23角成、54玉、55銀まで
 6手目。「55玉?いやんなっちゃうなあ。飛車をやるっていうのに取ってくれないんだからぁ」44同玉の時に56桂とはねる手を狙っていたのだ。
 だったら、むりやり玉を44へ引っ張りだしてみよう、というのが54飛から55金、44銀の連捨てである。急所に桂馬を跳ねて44に拠点を作るためならばプラス飛車をマイナス金にしても惜しくはないってわけだ。
 15手目。34飛に目が行く。44桂合、同飛、55玉、54飛、同玉、55金。さっきと同じことをして詰ませるって狙いだ。でも43玉と意地悪く逃げられる。45の桂馬がすごく邪魔に見えてくる。
 もう一度55金から44銀と打つ。その桂馬を捨てる時に、53桂成を同玉と取らせないために。目的を果たしたら用済みの銀はさっさと捨ててしまう。
 35飛。いい位置で飛車を使えてもう安心って感じだ。さっきは44桂合の捨て合で逃れたけれど、今度は45桂合と同じことをされてもちゃんと詰む。
 パタパタっと駒を捨てる収束が美しいけれど、もっときれいなのが詰上りだ。普通のエの字より一段ぶん背が高いので、とても華やかだ。
高橋耕之介 「重厚な中編推理を読み終えた感じです。犯人はエでした」




掲載誌 詰棋めいと
出  題 1988年9月



    【 発表誌解説より 】

    担当:森田 銀杏
 4手目75合は、同香、同玉、66銀以下。
塩田  洋=49馬が83から合駒をかすめに行くとは、思いもよらぬ展開。
千葉  肇=4手目合駒がないので楽になった。終って不成がなかったので、?…
山下  誠=成るも成らずも出てこないと思ったら、曲詰だった。
滝本幹夫=あぶり出し「オ」。
畑田淳生=流れるようにオの字。不成がないのは何故?
秋元節三=不成の形に持ち込もうとして苦労した。近頃変身?
松田明久=ナラズがないので少し淋しいけど、何の“オ”かな?
吉松智明=オカモトのオですか? 不成は入ってないが、収束気持ちよく、楽しめる曲詰。4手
 目75香合、同玉、77香、65玉…は変別解か?
★この調子よい手順が実は変別で3名もはまりました。(一点減点)
坂東仁市=57銀がジャマ駒化するところが良い。
桑原清作=75合の筋で悩み、57銀が邪魔駒とは気付きにくかった。
竹内敏己=こういうストーリー性のある作品は楽しめる。
平松準一=曲詰だからというわけでもないが、これが首位になりそう。
★折角の首位作にケチをつけてはいけませんが、序盤に何かもう一つ加えられそうな形なのが
 気になるところ。作者としても苦心されたと思いますが…。
小林和男=変化に乏しいのが唯一の難点。
松沢成俊=曲詰というだけで、手順は平凡。




【 岡本眞一郎作品集 】
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