岡本眞一郎作品集


タ行

巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。




掲載誌 近代将棋
出  題 1997年8月



    【 発表誌解説より 】

    担当:柳田 明
 4手目5三同玉は、5二桂成、同玉、4二歩成、6二玉、5二と以下。
 14手目6五玉は、7五金、5五玉、 4五馬 まで17手。
 14手目4五歩合は、同角、6五玉、 7五金、5五玉、5六歩以下21手駒余り。

 岡本氏が手掛けているカタカナあぶり出しシリーズ「タ」はどうしても字形が大きくなり、切れのある表現が難しい。流石に経験豊富な岡本氏だけあって捨合の入る収束から作り始めているが、詰め上がり駒の意味付けに苦労の後が見られるし、序盤の展開が難しく、どうにか20手台まで持っていったという感じだ。
 あぶり出しをシリーズで作ろうとすると、どうしてもこういう作品を乗り越えていかねばならない。苦心の跡をあまり見せず、軽快な仕上がりにしたのは岡本氏なればこそだ。
波多野賢太郎 「詰め上がり『タ』には驚かずにはいられません」
武田静山 「解いたのが7月7日午後7時。タナバタの『タ』でした」




掲載誌 詰パラ
出  題 1998年4月
結果発表 1998年7月



    【 発表誌解説より 】

    担当:平井 康雄
 2手目97玉は53角成、98玉、95飛、88玉、97馬、78玉、67銀、同玉、79桂、同金、68飛…。
 初手53角成は77玉、68金、同龍、86馬、78玉、68馬、同玉、67飛、59玉以下逃れ。

☆かつて「不成物の岡本」として名を馳せた作者が、最近、捨合入りの曲詰の好作を連発して
 いるのは今更触れるまでもないところです。
☆初形は歩以外の全駒使用。初手53角成が有力ですが届かないとなると、 85飛の一手。97玉
 の変化がちょっぴり難しいが、2手目77玉と決まれば後は一気に流れるように手順が進行し
 ます。
☆途中、一見重要な押さえ駒に見える金をあっさり47金と捨てる辺りは少々意外性があるか
 も。
☆57飛の好打の後、87飛と引けばお約束の捨て合「67歩」が出現。本局はさらに玉方桂不成ま
 で飛び出す、というおまけ付き。最後は大駒全部捨てて、鮮やかな「チ」の字が浮かび上がり
 ます。
☆捨合にしても不成にしても意味付けはそう難しくないですが、無理なく図ったように挿入されて
 いる辺りはただただ関心するしかありません。
☆当然、逆算創作のはずですが、初形歩無し全駒にするという付加価値まで付けてしまうとは
 すごいの一言。
足利太郎−また捨合の不成が入っている。47金からの捌きも豪快。なぜこうもたやすく作れる
 のか。不感症になっていく自分がこわい。
池田俊哉−(前略)歩なし全駒から打歩がらみの曲詰とはなかなかユーモラス。難易度を気に
 せず楽しめた。
小林武雄−歩無し曲詰、結構むチかしですね。
原田清実−56金、同龍で切れたかと思いました。捨合と不成入って期待通りの曲詰でした。
詰 鬼 人 −詰上りがやや苦しい図形ですが手順は変化も面白く仲々巧妙です。
☆「チ」の字としてはこの形はベストだと思います。あえて難癖をつければ字形が盤端にかかっ
 ていることですが、不成を入れるにはやむをえないところです。
那須  清−曲詰だからという甘えが全く感じられない、素晴らしい手順。




掲載誌 詰パラ
出  題 2000年4月
結果発表 2000年7月



    【 発表誌解説より 】

    担当:石黒 誠一
☆舞の海の猫だまし、巨砲の八艘飛び…もうやめておこう。定番中の定番である。
☆いかにも現代の曲詰という感がある。合駒を中心に、しかもこの作者の場合は中合や捨合
 だからさらに驚くが、曲詰という条件を感じさせないほど手順に密度がある。それでもやっぱり
 この作者には不成も期待してしまうのは私だけなのでしょうか。
足利太郎−中合入り曲詰。何か久しぶりの感じ。中合入りイロハ字図、早く完成させて下さい。
市村道生−例の捨合シリーズ。飛の捌きを始めとして、質の高さが感じられる。名作。
梅本柘男−これでもかというぐらい曲詰に中合を入れてくる作者、この執念には参る。
久後生歩−ツはあぶり出すのが難しそうに思える。36歩の中合がシブイ。
佐々木光正−曲詰らしい曲詰ですね。
武田静山−第一人者の貫禄十分。
塚越良美−36歩合が妙防、66金が決め手。
原田潰実−詰め上げて思わず「鮮やか」と声が出た。
凡 骨 生 −濃厚な作品が続いた後なのでアッサリした感がしたのは私だけか?




掲載誌 詰棋めいと
出  題 1998年12月



    【 発表誌解説より 】

    担当:森田 銀杏
 2手目47同玉は36銀、56玉、48桂、54玉、56金、同玉、54飛以下
 (イ)12手目55玉は66馬、同玉、76飛、57玉、48銀、68玉、59銀以下

新田道雄=7手目46銀…として時間食った。74飛の限定打もいい。
竹内久祐=手順前後の落とし穴でテが遠かった。
秋元節三=字になっているのに詰んでないというのはもどかしいもの。
★これは7手目46銀…として飛車を縦に使う紛れに入った人の感想。
梅本拓男=63銀…74飛が好手順で内容豊富。岡本氏の本領発揮。
金子恒男=74飛に(イ)55玉の変化も気が抜けない。
★この変化に37銀が要るので手順前後が出来ないという仕掛け。
鈴木芳己=テの字詰。ベテランの軽作。
久後生歩=最初から最後までスムーズに進む。テの字は鮮やかだが、少し物足りないか?
天津包子=飛車を取るまではやや一本道だが、後半は上手く出来テいる。
高津義則=さすがに手慣れた手順。
今川健一=不成も入っているし、64歩合は岡本さんならではの一手。イロハ詰の作品集を待っ
 ています。
★不成はおろか曲詰に変則合を取り入れる器用な作風で一つのスタイルを確立された作者。
 本局の64歩合は香の利きなので捨合のようには見えませんが、同飛に同香と取れないので
 すから、実質的には飛車の縦利きの筋を変える捨合です。イロハ四十八文字の完成も間近
 でしょう。




掲載誌 詰パラ
出  題 2008年10月
結果発表 2009年1月



    【 発表誌解説より 】

    担当:石黒 誠一
作者−ならずものを創っていた頃の素材に、最近、序を付けてみました。
原田清実−「お約束」ですが、何がいいって「易しいところ」でしょう。
☆この作者でこの初形、間違いなく曲詰だ。安心して取り組める。
☆歩成からさらさらと進み、あっという間に都玉。飛車切りから57香と据えれば、12手目同桂成
 は同飛、56金、67桂打で詰んでしまうので、単に移動合が正解となる。57金と据えた辺りで詰
 上りまで見通しが立つが、これを桂不成で取るのが作者らしい展開.以下はうまく打歩詰を打
 開しての詰上りに至る。実によどみない流れ。
☆原田さんの評の通り、文句なく易しいが、これは作者の持ち味。駒が自分の納まるべき場所
 を心得ているかのような手慣れた曲詰で、信頼感から来る安心感を感じられる。実にうまく創
 られるものだ。
凡 骨 生 −曲詰大好き「ト」ても気に入りました。
竹中歩美−華麗な捌きに不成も入っていつもながらオミゴ「ト」!
佐藤  司−詰ませてみて「ト」ってもスッキリ、こんな人は果たして何人?
天津包子−曲詰に移動合と不成、上手いもんです.岡モ「ト」さん。
山田和彦−作者の5月号の曲詰は重量感に満ちた力作だったが、本作は肩の凝らない楽しい
 曲詰。桂の3段跳び、打歩詰回避、軽めの作品だが手抜きは無し。さすが。
須川卓二−氏にしてはわりと オーソドックスなあぶり出しだが、不成はさっすが〜。



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