カ行
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
巧妙な作意、きれいに浮かび上がる文字。
“一局で二度おいしい” あぶり出しならではの楽しさ、面白さを、じっくりとご覧ください。
掲載誌 詰棋めいと
出 題 1996年5月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
6手目44同玉は35金、55玉、45金、同香、同飛、同玉、43飛成、44合、46香、55玉、44龍まで
作者=本誌11号カの字の改作です。
吉松智明=35角が旨い捨て合、後は無難にまとまる。
★三名が35角合を見落としました。
千葉 肇=中合から邪魔駒消去が見えなかった。
桑原清作=角合の場所が巧妙、都詰の詰上りも良い。
久後生歩=35角合がポイント、この初型からカとは思わなかった。
佐藤 司=曲詰とは予想できたが、切った張ったの手順までは予想しなかった。
金屋敏彦=力強い手順なので、片仮名ではなく、漢字の「力」
木村 透=見事な手順で力作。
金子恒男=例によって合駒入りの力作。43飛生と44同角生はこの作者だから許される?
高木マサカ=妙手35角中合から面白い展開になる。飛車の連続捨て以後は例の収束だが、
詰上りが美しいので解後感もスッキリ。
逢坂太郎=曲詰でも手が軽い。
滝本幹夫=合駒入りの炙り出し。手順はスラスラ。
新田道雄=中合、大駒捨てに曲詰で、易しいがいい出来!
板東仁市=易しく軽やかに詰み上がるので、小生好みの炙り出し。
平松準一=巧さを感じる曲詰
流田義夫=字形と合駒の構図を結びつけるのが巧み。
平井康雄=無理なく捨合を挿入するあたり、センスの違いを見せつけられたよう。
松澤成俊=ちょっと機械的な印象は残るが、詰棋のエキスは充分詰め込まれている。
竹内久祐=35角が気付きにくく、本筋は弛みないが、53桂・37歩の存在が侘しい。
山下雅博=53桂が面白い配置。
★37歩は合駒限定53桂は余詰消しです(香ではダメ)です。
中出慶一=形と作者名から曲詰に決まっている。実力者にしてはごく標準的な手順で、期待は
ずれ。
秋元節三=打歩の局面がないと、どうしても不満が残る。
小林 徹=この作者にはもう一つ上を求めたい。
★有名作家になると要求がきつくなりますね。
掲載誌 近代将棋
出 題 1995年12月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
大髭康宏 「5四銀…7二馬が見えなかった」
橋本 明 「邪魔駒除去と歩詰解消の馬捨てから最後の角捨てでキリっと締まった作」
田中信弘 「軽快そのもの。捨合をすぐに取らないのも良い」
山岸幸徳 「5三桂成のタイミングが絶妙」
邪魔な銀を除いてから8三金の離れ駒を狙う7二馬寄りで歩の捨合を稼ぐという筋書きですが、そのまえに4五桂を消しておくのが巧みな手順構成。駒数の多い字形なのに重さを感じさせないのはさすがです
武田静山 「誠にスムース、流れるような手順」
岡田 敏 「易しいが、邪魔駒除去を挿入して水準を維持した」
掲載誌 詰棋めいと
出 題 2002年11月
【 発表誌解説より 】
解説:新ヶ江幸弘
2手目44玉(54玉は56飛〜66桂以下)、56桂、54玉、66桂、63玉、64銀、62玉、73飛成、61玉、51金、同玉、24馬
以下。
4手目42玉、52歩成、同馬、24馬、43玉、73飛成、53歩、33馬以下。
18手目55桂合は53と、64玉、56桂以下。
★不成だけではなく、いつの間にか曲詰作家としても実績を積み重ねてしまった岡本さんだが、元々、地力が並の作家とは違うのでしょう。
★初手は見当がつかない感じがするが、いずれにしても、上部へ逃げる変化を読まなければならならない。結局、上部へ逃げられても2枚のいずれかの桂跳ねから2枚飛車を活用して詰む感触が得られれば(盤面に駒が残るという意味で)、一番効率がいい42金打ちに踏み切れるが、54玉〜53玉と要と思われる香歩が抜かれそうな不安定な形であることもあり、解答者心理としては打ち難い。
★続く22銀生がまたまた解く側には着手し難い手である。せっかく初手に打った金の紐がはずれてしまうからだ。上部の配置を見ればこのぐらいしかなく、作者としては他に選択の余地がない逆算で紛れがないという感じを抱いているものと思われるが、実際に解くとなると話は別だ(初手が再び不安になる)。
★22同玉が決まれば、後は曲詰や煙に出てくる駒捌きで玉を中央に持ってくる手順は容易であろうが、その中で、52歩成〜43銀成とはうまい逆算があったものだ。正直に感想を言えば、収束から考えてこれしかないという逆算なのだが、実際にこのように作られてしまうと、同じ収束ではもう誰もこの形を作ることはできなくなってしまう。
★フィニッシュはお約束の合駒が2回出現するが、このうち33桂をすぐに取らないところがみそで、形を決めてから取るのがうまい手順。最後の歩たたきから桂跳ねまでの5手は派手さはないが、感触としては悪くはない。こういう収束をみると、森田さんが次のように言っておられたのを思い出す。
★「これからの曲詰は収束が捨駒でばっちり決まるものを考えてもうまく作れるとは思えない。そういういいものは、北原氏をはじめとする大作家といわれる人たちが大方発掘しつくしている。平凡な収束から出発した方がいいものができる可能性がある。」
掲載誌 詰パラ
出 題 1998年7月
結果発表 1998年10月
【 発表誌解説より 】
担当:平井 康雄
4手目66同とは、85馬、同玉、83龍、84香、41角成、76玉、87金、同香、同金、同飛、同龍、65玉、85龍、75歩、
74馬…
6手目86同玉は87金、85玉(75玉は67桂以下)、41角成、75玉、67桂、同飛成、85馬以下。
12手目86歩は87金、66玉、86龍、55玉、56歩、同飛成、67桂、同龍、56歩以下。
12手目75玉は57馬、同と、87桂…
7手目76金は同玉、96龍、75玉、87桂、84玉以下逃れ。
21手目56龍は同玉、23角成、65玉、47馬、64玉、84飛(74飛は63玉、45馬、62玉、72飛成、51玉……)、73玉、
74馬、62玉、82飛成、72歩、73馬、53玉、54歩、43玉、34馬、32玉、72龍、42歩、33歩、31玉以下逃れ。
☆今や毎度おなじみとなった岡本氏のカタカナ曲詰。今回は残念ながら、いつもの捨合は入っ
ていませんでしたが、替わりに普通の限定合と玉方飛生3回入りです。
☆私も含めて岡本ファンは多いと思いますが、本局の場合、66桂、57銀辺りの変化紛れが厄
介で少々取っつきにくかったかも……。
足利太郎−質駒作りの57銀捨てが左辺での変化と旨く絡んで絶妙。捨合ならぬ不成バージョ
ンの曲詰だがこちらも見応えがある。
小林武雄−八方睨みの二枚角の援護の元に龍が玉を追い、一方守る飛も不成で応戦するが
遂に都詰、ケっ作です。
石井秀幸−まさか打歩がらみになるとは……。2枚の金も龍もきれいにさばけての「ケ」のあぶ
り出し。好作だと思う。
今川健一−岡本さんの曲詰シリーズは面白い。最高のイロハ詰も完成が近いのでは。
☆後どの字が残っているのか定かではありませんが、殆ど完成しているはずです。作品レベル
が水準以上に揃っているのは素晴らしい。これで全作限定捨合入りとかに統一されたりした
ら、それこそ凄いことですが……。
掲載誌 近代将棋
出 題 1995年12月
【 発表誌解説より 】
担当:森田 銀杏
室井哲哉 「序が難しい」
小林 理 「7五角の紛れが深くて困った」
山岸幸徳 「手のつけ方が異様。桂成りとは盲点を衝かれた」
石井 豊 「初手の飛車捨てと桂の巧い攻めは詰将棋らしくて気持ちいい」
橋本 明 「コレという手はないが、5五角捨てに一旦6五玉と逃げるのが延命策」
千葉 肇 「6手目中岐れと思いきや、罠?」
6手目6五同玉、4五馬、6五玉、6七香、6六歩合に(A)同香…で作意に入る順のことでしょうが、(A)5七桂…の早詰が見えています。
明石顕治 「8手目桂合でも同手数と思ったら、品切れだった」
大髭康宏 「苦しい4七桂の配置」
合駒制限だけでなく、退路塞ぎにも必要な駒ですから、気になりません。むしろ四桂をうまく使った創作技術に感心しました。
羽生田隆一 「捨合で粘り気を出している」
武田静山 「金銀がないので収束に興味があったが、なるほど…」
岡田 敏 「貧乏図式のあぶり出しとしては成功している」